胃痛で心配されている方へ
胃がんを心配されている方もいるかと思いますが…
胃痛が気になってインターネットで検索している方は、「自分は胃がんなんじゃないか…」と心配している方も多いと思います。しかし多くの場合はその心配はありません。胃がんの原因の99%以上がピロリ菌が原因であるが判明して以降、ピロリ菌検査を受け除菌治療を済ませた人が増えたことにより胃がんは今日の日本で発症率が減少している疾患です。実際当院でも年間約2500件の胃カメラ検査に対して、胃がんの発見率は10人前後です。その多くの方が高齢者、ピロリ菌未治療もしくはピロリ菌の治療が遅れた人であります。
がんにはそもそも初期症状は出ません
がん細胞は自分の体の一部です。ほくろの様な小さな初期のがんに違和感を感じることはなく、ネット示されているがんの初期症状とは、がん細胞が増え続け大きくなって胃に不快な症状を生じた結果現れた症状を指しています。つまりそれは初期症状ではなく進行したがんの”初発症状”です。ここまでがんが成長するには1年2年での経過ではまずありえません。ですから検診なり胃カメラ検査を1,2年以内に受けた方であれば慌てる必要はありません。
またがんは若い人の病気ではありません。人間の体は古くなった細胞から新しい細胞へ細胞分裂を繰り返し常に新陳代謝をしています。この細胞分裂の正体は細胞の設計図であるDNAを正確にコピーしオリジナルとまったく同じ細胞を作り出すことです。当然年を取ればとるほど細胞分裂の回数が増えている訳ですから、ミスコピーを起こす機会も多いのです。3人に1人ががんで死んでいますなんてテレビコマーシャルを見たことがありませんか?それは逆に日本人が長生きをしている至極真っ当な結果であるとも考えられます。老化が引き起こす血管の老化(脳血管障害)、細胞の老化及びがんそして老衰。ですので、40代までの胃痛の原因が癌であるケースはごく稀といえるわけです。
怖がり過ぎず、まずは受診を
病院の役目は可能性のある病気を疑うことから始まります。年齢、症状、発症時期などから最も疑う病気の診断をつけることであり、それに向かって最短距離で歩みたいのは患者も医師も同じです。上記の理由からむやみに内視鏡検査を勧めることはありませんが、外堀を埋める意味合いで内視鏡検査を受ける意義は承知べきです。医療機関に行かないことで、かえって怖がり過ぎてしまってハードルが上がっている方をよく見ます。一度受診してもらえれば、病気のも治療できますし、余計な不安も無くなるにことと思います。まずはお気軽に受診してもらえればと思います。