アニサキスとは
アニサキスとは、クジラやイルカの消化管に生息する2~3ミリの線虫です。海中で孵化したアニサキスの卵が成長過程で魚やイカに寄生し、結果的に人の食卓に紛れ込み人が食してしまうことで、胃に激痛などを伴うアニサキス症を発症します。
また、アニサキスを喫食することで、蕁麻疹などのアレルギー症状がみられる場合は、アニサキスアレルギーといいます。喫食後すぐに症状がみられる場合と、数時間~10時間以上経ってから症状がみられる場合があります。
アニサキス症は一般的に、アニサキスを取り除くことで症状が改善します。しかし、アニサキスアレルギーであった場合には、アレルギーに対する治療を行います。アナフィラキシーなど重篤なアレルギー症状がみられるような場合は、すぐに救急車で医療機関へ行きましょう。
アニサキス症の原因
アニサキス症は、アニサキス幼虫を魚などと一緒に喫食することによって発症します。 アニサキス幼虫はサバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカ、ヒラメなどの魚介類に寄生しています。日本では魚介類を生で喫食する食文化があり、これらの食材と一緒に、アニサキス幼虫を喫食してしまうのです。
但し、人間ドックの際に無症状の方からアニサキスが発見されることもあり、必ずアニサキス症を発症するわけではありません。おそらく過去に数回アニサキスに曝露されることでアレルギー反応が成立し、痛みが生じると考えられています。そのため、アニサキス症を発症する方は何度も発症を繰り返すことが多いです。
アニサキス症の症状
腹痛
生の魚介類を食べた後、4~6時間くらいでみぞおちの違和感を得て、徐々に激しい痛みに変わります。アニサキス症は、アニサキス幼虫がどこにいるかによって病名が異なります。
胃にアニサキス幼虫が生息している場合を胃アニサキス症といい、腸に生息している場合を腸アニサキス症といい、激しい下腹部痛などの症状がみられます。
アニサキスアレルギーの方の場合は、腹痛や嘔吐などの消化器症状以外にも、蕁麻疹などのアレルギー症状が起こります。アレルギーが重度であった場合には、血圧低下や呼吸不全、意識消失といったアナフィラキシー症状が起こることもあります。
アニサキス症の予防
アニサキス幼虫は60℃で1分以上加熱、あるいは-20℃で24時間以上冷凍処理をすると、死滅します。生での喫食を避けなるべく加熱処理をする、もしくは冷凍処理された後の魚を調理して食べることが感染予防にはおすすめです。
しかし、アニサキスアレルギーの場合、アニサキスアレルギーの原因となる抗原には耐熱性があるため、加熱をしても抗原性は失われず、アレルギー症状を示す可能性があるという見解もあります。アレルギーのある方は、加熱をしてもアニサキスアレルギーの予防にはならないと考えられています。
もしも生で魚を食べたいという場合には、新鮮な魚を選ぶようにしましょう。また、魚を丸ごと1匹で購入した場合には、速やかに内臓を取り除いて破棄し、内臓から筋肉部分にアニサキス幼虫が移動することを防ぐこともポイントです。
調理をするときに使用する程度のワサビや醤油程度では、アニサキス幼虫は死滅しません。酢で魚を締める、塩漬けにするという方法も同様です。
また、アニサキス幼虫は肉眼でも確認できるため、もしも発見できれば食べる前にアニサキス幼虫を取り除くということも、感染予防につながります。
他にも、食事の際によく噛むことでアニサキスの侵入を防ぐことができるとも言われています。生の魚を食べる際には意識してみてもよいでしょう。
アニサキス症の治療
最も効果的な治療方法は、アニサキス幼虫そのものを胃内視鏡で発見し、鉗子(かんし:ピンセット様の医療器具)でつまんで除去することです。アニサキスが体内から消失すれば、症状は徐々に消失していきます。また、アニサキス幼虫は胃液で死滅するため、生存は長くても4日程度とされています。しかし、胃アニサキス症を放っておくと、アニサキス幼虫は腸へ移動し、腸アニサキス症となり重症化していく可能性があります。腸にまで移行したアニサキス幼虫は、鉗子で駆除することはできません。
もしも腸アニサキスになった場合には、症状に合わせた治療(対症療法)を行います。重症化し、腸閉塞や腸穿孔といった状態になった場合は、腸の組織そのものを切除する手術を行うことがあります。
薬物治療
アニサキス幼虫そのものを駆虫するお薬などは現在開発されておらず、お薬で殺虫することはできません。アニサキス症による腹痛の場合は、胃や腸の蠕動運動を抑える鎮痙剤を使用したり、胃酸分泌抑制剤を使用したりすることで症状が改善されることもあります。
また、民間療法としては正露丸の使用なども効果的とされており、どうしても医療機関を受診することができない方は十分に試してみる価値があるでしょう。
アニサキスアレルギーによる蕁麻疹等症状が出ている場合には、抗ヒスタミン薬を使用して蕁麻疹症状を改善させていきます。
あつぎ内視鏡・内科クリニックでのアニサキス治療
アニサキスによるお腹の痛みでお困りの方は当院へお越しください。可能な限り緊急胃カメラとしてアニサキス除去ができるように対応致します。アニサキス症の方の対応は緊急性が高いため、事前にお電話をいただくことができればスムーズとなります。しかし、医療体制の関係から15時30分までに当院へお越しいただく必要がございます。みなさまのご来院をお待ちしております。