あつぎ内視鏡・内科クリニック 〒243-0018 神奈川県厚木市中町3-12-1 厚木国際ビル7F TEL:046-223-4976

便秘

症状

便秘とひと口に言っても、人によってさまざまな症状があります。例えば、「何日も便が出ない」「下剤を飲めば排便できる」「硬い便が出る」「残便感がある」などが聞かれます。しかし、実際は便の回数には個人差があります。毎日便が出ていなくても、それがその人の排便のペースで正常範囲内あれば良いのです。排便回数の正常の範囲とは、1日に3回~3日に1回までと幅広く、1週間で捉えるならば3回以上とされています。

ただし、便秘の症状が続いていることで日常生活に支障を期待している、便に血液が付着している、体重が減ってきている、気分が優れない、腹痛やお腹の張りがあるようなケースは、早めの受診をおすすめします。また、1か月以上すっきりとしない排便が続く、あるいは順調だった排便が急に便秘気味になったというようなケースも、早めに受診することをおすすめします。

原因

便秘は、便を体外に排出するためのメカニズムに何らかの原因で障害が起こり、腸の中に長い時間便が残って排泄されない、という状態です。そのために不快感があることも、便秘の要件です。
便秘は、「どうして便秘が起こるのか」という仕組みの違いによって、いくつかの種類に分けることができます。
一つは、胃や腸、肛門などの病気が原因となって起こる「器質性便秘」です。
もう一つは、大腸の働きが悪くなったことが原因で起こる「機能性便秘」で、機能性便秘はさらに次の3つの種類に分けられます。

直腸性便秘(または便排泄障害型便秘)

便意を我慢しすぎることや、しっかりとトイレの時間を確保できないなどで、排便のリズムが乱れることで起こります。直腸に便が達しても便意を感じにくくなり、大腸内に便が留まる時間が長くなります。

弛緩性便秘(または通過時間遅延型便秘)

食物繊維の摂取不足や運動不足により大腸の蠕動運動が低下することで、大腸内の便の通過に時間がかかり、大腸内に便が長時間留まるタイプの便秘です。便秘の中で一番多いタイプだといわれています。

痙攣性便秘(または通過時間正常型便秘)

大腸に過度の緊張が加わったことで、自律神経のバランスが崩れ、蠕動運動が強くなり過ぎて腸が痙攣を起こしてしまい、便が大腸内を輸送する働きに障害が出てしまうタイプの便秘です。腹痛や腹部膨満がみられることもあります。

このほかにも、ホルモンや神経の病気が便秘の原因となる場合や、服用しているお薬の副作用で便秘になる場合もあります。

関連症状

便秘に関連する消化器の病気には、次のようなものが挙げられます。

大腸がん

現代の日本人の食事は脂肪分が多く欧米化しています。動物性脂肪の消化には胆汁酸がたくさん分泌されますが、胆汁酸が長く腸内に留まることで、大腸がんを発生させる発がん性物質(2次胆汁酸といいます)に変化します。また、食物繊維の摂取不足も便秘傾向を招くことになり、さらに2次胆汁酸を発生させることにつながります。

初期のころには自覚症状がほとんどありませんが、進行すると大腸の内腔が狭くなることで排便が難しくなりなります。これまでスムーズだった排便が便秘になったり、便自体が細くなったり、血便になったりする場合は、早急に受診しましょう。

過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome :IBS

前述の便秘の種類「痙攣性便秘」にあたります。大腸および小腸に見た目で分かる器質的な以上(潰瘍や腫瘍など)が無くても、便秘や下痢をくり返す病気です。腹痛や腹部の膨満感などもみられることがあります。身体的、精神的ストレスが原因と考えられており、一時的によくなっても再発することがあります。

腸閉塞(イレウス)

腸の捻じれや腫瘍、機能障害などによって腸が詰まり、内容物が運ばれなくなる病気です。腸内に便やガスが溜まり、便秘のほか、お腹の張り、腹痛、嘔吐などが起こり、発熱することもあります。

便秘が原因となる病気です。排便時のいきみによって肛門部がうっ血(血液が溜まってしまうこと)したり、硬い便によって肛門部を傷つけることで起こります。痛みや出血、化膿などがみられます。また、便秘のため、直腸にたまった便が肛門を圧迫することで血液の流れが悪くなります。
肛門の痛みや出血を怖がり、排便をがまんしてしまう人もいますが、その結果さらに便は硬くなって排便できなくなり、痔と便秘はますます悪化します。

 

診断方法

次のような方法で便秘の診断をおこないます。

レントゲン

腹部のレントゲン検査(X線撮影検査)です。治りにくい便秘の場合は腸の中にどの程度の便が溜まっているかを確認するとともに、腸閉塞などが起こっていないかを確認します。

大腸カメラ

肛門から内視鏡を挿入し、大腸の内腔の様子を直接観察できる検査です。便秘は大腸がんや過敏性腸症候群などの病気でも起こりますので、これらの病気を発見することができます。

薬物療法による経過観察

服薬で便秘の症状が改善するかを経過観察します。症状に応じて、腸への刺激性が少ない便を柔らかくするお薬や、腸の蠕動を刺激して排便しやすくするお薬、小腸からの腸液分泌を増やすことで自然な排便を促すお薬、整腸剤、腸管運動調整剤などが処方されます。

受診促進

便秘の多くは、生活習慣や食生活を見直すことで改善していくものです。便秘の症状はさまざまで、その辛さもまた人によって違います。なかには、なかなか改善しないケースや、長く症状が続くことで慢性化してしまうケースもあります。また、便秘の表れ方や便秘以外の症状の有無などによっては、病気を引き起こしていたり、命に関わる病気が隠れていたりすることもあります。
正常な便通の範囲は広く、個人差があり、便秘の原因も多岐にわたります。いつもの便秘、たかが便秘と思わず、辛い時には我慢せずに消化器内科を受診しましょう。

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